ゆかりの人物の墓所・境内のご案内|愛知県岡崎市のお寺「是字寺 龍海院」
story語り
歴史はつづき、
人から人、口から口へ
そもそも、当山龍海院とはどのようなお寺であって、岡崎との関係はどのようなものであるのか。
代々の住職が語り継いできた物語の一片を少しだけお話しさせていただきます。
お寺あるところに住職あり、住職あるところに語りがございます。
口で語られてきたこともございまして、
史実と若干の違いがあるかもしれませんがお許しいただければ幸いです。
また、せっかくこうして皆さまとお話できる機会です。
「禅」の考えに、少しだけ触れてみませんか。
松平の初代、
慈愛の僧名徳阿弥
龍海院は松平清康公によって建てられたが、初代の松平は僧名徳阿弥という方だったそうで、非常に慈悲深い人であった。
婿養子に入れていただいた恩義を深く感じて、訪ねてくる見知らぬ人も泊めてあげたり人のために道を作ったり、そんなことをして松平の評判と信頼を高めていったそうな。
13歳にして城主となった
清康公
当時岡崎城6代目の城主の時世、民を顧みない政治で乱れた折に、安祥城の「城主に立てよう!」と名前が挙がったのが松平清康公であった。
齢わずか13歳のこと。若き新城主をよく思わない者が多いことを予想した清康公は、
「私のやりたいようにやらせていただきますので、どうか温かい目で見ていてくださいね。」と皆の前で宣言し、見事謀反を起こさぬよう諫めたのだった。
その際に、唯一良い姿勢を見せなかった岡崎城城主の信貞を清康14歳の折に攻め落としたのだった。
清康公が愛し続けた女性と、
家康公への道
清康公は、たまたま偶然にかつての初恋の女性によく似た「お富」と町で出会う。その面影に一目で恋に落ち、彼女を正室に迎えることとなる。そのお富が、他でもない徳川家康を産んだ於大の方の母親だったのである。
三世代に渡って仕えた
武将・酒井正親
清康、広忠、家康、三世代に渡り誠心誠意尽力した名武将、
酒井正親は家康のへその緒を切ったとしても非常に有名である。
石柱に囲まれたお墓は、龍海院に静かに佇んでいる。
家康の父、
広忠の正室・真喜姫
広忠公が於大の方と離縁したのち、正室に迎えたのが真喜姫であった。
そのわずか四年後に広忠公はその生涯を終えてしまう。
松平清康公の最期
14歳に岡崎城を攻め落とし、めきめきとその勢力を伸ばす清康公だったが、敵方のデマにより撹乱された味方軍によって一撃で死に至ってしまったそうな。その年、わずか25歳であった。
生まれいづる時に持っていた、
私たちの願い
曹洞宗を開いた道元禅師はこう説かれました。
「私たち一人ひとりは願いによって生まれてきた、そういう存在なんだ」と。
ここで問題なのが、誰の願いによって生まれてきたのか。
父母や祖母から願われて生まれてくるのは想像できるでしょう。しかし実は、まだ影も形もない自分こそが願った。「どうしても人間に誕生させてください。どうしてもやりたい夢があるんです。」と。他でもない、自分自身の願いによって、私たちは生まれてきているのです。
こうして生まれてきたのが私たち一人ひとりなのだ、というのが「願生」という道元禅師の誕生観です。
皆様が生まれる前に持っていた夢とは、願いとは、いったい何だったのか。
禅の考えに触れるこの機会に、ぜひ心の中で自分自身に問うてみてください。
visit巡る
歴史をめぐり、想いを巡らせる
岡崎に開山した龍海院は、数多の歴史上の人物の墓所や、特徴的な本堂、
また少し離れた丘の上には瀬名姫が過ごされていた總持尼寺など、
たくさんの歴史を感じられる見どころがございます。
記憶と歴史が残る建物を訪れて、まつわる一人ひとりの最期に想いを巡らせてみませんか。
※神事等で閉めている場合もございます。ご不安な方はお寺までお問い合わせください。
- 1山門
- 岡崎空襲で唯一残存したのち、道路拡張に伴い再建いたしました。
- 2本堂
- 建築デザイナーである山口文象氏がデザイン・建築。
天井が高く、明るく光が降り注ぎます。
- 3寺務所
- ご入用の際はこちらにお越しくださいませ。
神事等で留守の場合もございます。
- 4鐘楼
- 1818年に鋳造され、またの名を「梵鐘」「鯨鐘」「巨鯨」など、その大きさから多々鯨に例えられます。
- 5大乗妙典供養塔
- 伝馬町の遊廓を取り締まっていた方のお墓です。
- 6永代供養墓所“想”
- 弥勒菩薩様に優しく見守られる永代供養墓所。他にも数カ所の墓所がございます。
- 詳しく見る
- 7松平清康公のお墓
- 徳川家康の祖父にあたる清康公が眠る墓所です。
- 8真喜姫のお墓
- 徳川家康公の父、広忠公の2番目の正室が眠る墓所です。
- 9酒井正親のお墓
- 清康、広忠、家康、3世代に渡り仕えた家臣・酒井正親の眠る墓所です。
- 10遊具
- 夕方になると、子供達が境内で
遊ぶ声が響きます。
- 11総持尼寺
- 龍海院から少し丘を登った先にある瀬名姫が過ごしたお寺。
岡崎市の文化財に指定される貴重な資料が多く保管されています。 - 詳しく見る
- 12築山稲荷
- 瀬名姫が「築山殿」と呼ばれるようになった由来の稲荷神社です。
- 13坐禅堂
- 只今準備中です。